備蓄艦隊 ～艦これ航海日誌～

※注　秋イベントE5のネタバレが含まれています


　地下にある作戦司令室。細かな指示は出せないものの作戦命令はここから発せられていた。先刻出撃した艦隊は今――作戦上”E5”と名付けられた――海域を進んでいる。提督と大淀の前にある大型モニターにはその様子が映しだされていた。妖精特製のドローンは常に艦隊を捉え続けることが出来るものの映像と音声が一方的に送られてくるだけだった。結局作戦司令室と言っても暗号化された僅かな信号、「進軍」や「撤退」、そして「陣形指示」程度を送るだけしか仕事が出来なかった。

「やはり見ているだけというのは歯がゆいな。改良の目処はまだ立たないのか？」
　画面を眺めたまま提督が問うてきた。
「何分未知の技術で作られたものですから……。司令部施設のように新たな装備品が開発されれば変わるかもしれませんが」
「艦娘自体が未知の技術の結晶のようなものだと思うが……」

　無事に揚陸地点を通過し、精鋭の水雷戦隊はこの海域の最も黒い感情が集まる地点へと到達した。待ち受ける駆逐水鬼の艤装の一部はすでに吹き飛ばされ、その表情を伺えるようになっていた。完全に沈黙させるまで残り僅か。単縦陣の指示を飛ばしたところで戦端が開かれた。

「ヨルノ……ヨルノヤミハ……。 コワクテ……コワクテ……フフフ……！」
　不気味に駆逐水鬼が語りかけてくる。ややくぐもっているものの砲戦距離外にいるにも関わらず音声を拾えることが更に不気味さを増す。
　水雷戦隊同士の戦いは一瞬でケリがつく。最大戦速で機動し砲と魚雷を叩き込むと全てが終わっていた。装甲もろくに持たぬ駆逐艦たちの被害は甚大だった。大破3に中破1。負け戦と呼べる被害だったがかわりに駆逐水鬼に砲弾の雨を降らせ、海中からは魚雷が炸裂し、その姿は沈みつつあった。

　駆逐水鬼はすでに半分海中へと没しながら語りかけてきた。
「クラクテ、ツメタクテ、サミシクテ、クルシクテ……ミナミノウミニ、シズンデイタノニ……」
　ドローンが間近で撮影しているにも関わらず相変わらずその声はくぐもっていた。
「断末魔、か。敵とは言え少し可哀想ではあるな……」
　提督が哀れみの感情を示す。しかし――
「ワタシ……見える、あなたが……」
――！？
　急にクリアになった音声は確かにそう聞こえた。提督にも聞こえたらしく固まっていた。
「……奴は『あなたが』と言ったな。あなたとは誰のことを指す？　艦娘か？　それとも私か？　単に幻覚を見たのかそれとも」
　大淀は質問されているのか自問していただけなのかの判断はつかなかった。
「わかりません。ただ今までも今回のように急に声がはっきり聞こえてくることはありました。春も夏も……。ただどちらも独り言のような内容でしたが、今回ははっきりと相手がいるかのような」
「言語を操るのに話が通じない、というのは厄介だな。こちらを撹乱しているだけなのか、やはり過去の亡霊なのか」
　答えの出ない問答の間にも水雷戦隊は付近を捜索し邂逅する艦娘を捜索していた。すぐに発見しその姿が具現化される。
「マイク音量だいじょ……」
　ここで通信は切断された。

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春や夏でも最後はクリアになりましたが今回はよりよく聞こえてきた上、『あなたが』と言われたのでドキッとしました。悪い意味で。彼女は何が見えたのでしょう。その後出てきた萩風か？夜の闇が怖くて南の海に沈んでいるし、見た目もその通りですが…。深海棲艦が浄化され、艦娘となる過程でその姿を見たということかな。

未だに深海棲艦が何者なのかは明確になっていないので色々な考え方が出来て面白いです。萩風=駆逐水鬼だって仮説の一つなわけでミスリードの可能性すらありますし。

イベント自体は印象が薄い感じでしたが、最後だけは妙に引っ掛かりを感じました。

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category: 雑記

thread: 艦隊これくしょん～艦これ～ - janre: オンラインゲーム

tag: 突入！海上輸送作戦  SS  大淀通信室  萩風  E5 

ドローンまで用意するとは妖精さんの技術はすごいですね。
そして、最後の艦娘ドロップのところでなぜか通信切断。思わず笑ってしまいました。
まぁ、そうなるな！

深海棲艦の正体は謎のままですね。
だからこそ想像や創作の幅が広がるのかもしれません。
今後、正体が明らかにされるのかはわかりませんが、深海棲艦の台詞に注目ですね。

いつにも増してシリアスな話だったので、気が付けば涙が溜まるほどに場面を想像しながら見てましたが、マイク音量で駆逐水鬼もろとも涙が爆散しました（笑）

艦これにはストーリーは無いと言われていますが、深海棲艦の立ち位置やセリフなどを想像したり深読みしたりで世界が広がりますね！ 運営さんも何も考えていないようで実は深く設定を考えて…るといいな…（笑）

イベントが進むにつれて戦況が変わったり、深海棲艦のセリフで目的が判明したり…出撃する海域の説明の為だけでなく、今後のメインストーリー？にも期待大です！ 冬イベはアニメ提督のように裏をかかれて、執務室防衛戦なんて来たら面白いなー…と思いましたがそれだと深海ではなく揚陸棲艦ですね（笑）

「艦隊のアイ(ry」じゃなくてよかったｗ
ストーリー的な面はさておいても、真珠湾襲撃に成功し、南方の敵橋頭保を撃滅し、鉄底海峡を越えて飛行場を叩き、北太平洋の敵根拠地も襲撃し、あの因縁のミッドウェーも制覇して本土強襲も跳ね返し、トラック空襲も撃退し、インド洋を叩いて援蒋ルートをツブして欧州との連絡も確保し、再度のソロモン海戦も蹂躙し、今回で南方激戦域への輸送路も確保。
…なんでまだ全体的に劣勢なんだろうか？ｗ
大本営及び軍出身政治家の謀略か、艦娘の艤装等を請け負う軍需産業の利追策略か…？
む、こんな時間に来客とはめずらｓ

Re: タイトルなし

>ひなたさん

ろくな指示は出来ないのに映像だけは見られる現状にはこの方法しかないのかな～と考えました。
話は出来るのに未だ謎が多いですよね。どんどん艦娘に似てきているので次回も期待です。確かに二次創作の自由度が高いからこそこれほど受けているのかもしれませんね。


>ギコさん

いつもシリアスだけじゃつまっちゃうのでなるべく遊びは入れるようにしています。でもマイクチェックさんは本当に撃破時に出てきた実話です（笑）　あの時嵐でも良かったのに。
最初の頃は本当にあんまり考えていなかったかもですが、最近は明確な意思を感じるように鳴りました。どう帰結するかわかりませんが最後まで付き合いたいですね。

執務室防衛戦…アニメ提督の椅子だけ残る状態でしょうか（笑）　敵揚陸艦隊もいますしあながちありえない話でもないかも？


>ハリさん

お姉さんたちはいっぱい出ましたｗ
どれだけ叩こうともそれ以上の数が出てくれば劣勢、ということでしょう。あれ、まるでごき…。オリョールであれだけ通商破壊食らっても対潜艦を配備しないところを見ると繋がっている可能性も否定できませんね。